大手総合決済サービスのSB Payment ServiceとGMO Payment Gatewayを比較してみた

はじめに

クレジットカードやコンビニ決済等の様々な決済手段を一括で導入できる総合決済システムは、何かと便利です。 最近 EC サイトの開発を受注したので、これを期に大手総合決済サービスの SB Payment Service(SBPS)と GMO Payment Gateway(GMOPG)について比較してみました。

比較内容

主に比較した内容は以下のとおりです。

1. 決済手段の種類

クレジットカードやコンビニ決済、電子マネー等様々な決済手段がありますが、その決済手段にどれだけ対応しているか比較しています。

また、これらの決済手段との連携を実装するには、大きく分けてAPI 型とリンク型の 2 通りがあるので、それについても比較しています。

2. セキュリティ

クレジットカード番号やセキュリティコード等の特に漏洩してはいけない情報の扱いや、3D セキュアに対応しているか比較しています。

1. 決済手段の種類比較

tl;dr

• SBPS と GMOPG が対応しているサービスに違いはありますが、メジャーなところはどちらも対応しているので、ほぼ違いはないと言えます。
• SBPS はリンク型中心に、GMOPG はAPI 型中心に決済サービスと連携しています。 特にオンライン決済、電子マネー、プリペイドは対照的です。
• GMOPG はクレジットカード決済において、ユーザーの自国通貨建てで決済できるサービスを提供しています。
• GMOPG は代引決済にも対応しているため、配送業者は限定されますが、ほぼすべての決済手段に対応することができます。
• GMOPG は SBPS と比較してBtoB に強く、比較的簡単に掛け払いや口座振り込みが実現できます。

クレジットカード

主要ブランド対応しているため、ほぼ差はありません。Discover は GMOPG では申請すると決済できるようになります。

GMOPG は海外居住者向けに 「多通貨クレジットカード」 というサービス名で、ユーザーの自国通貨建てで決済できるサービスを提供しています。

API

リンク

コンビニ決済

対応しているチェーンに若干の違いはありますが、ほぼ違いはないと言えます。

API

リンク

キャリア決済

SBPS と GMOPG の対応は特に差はありません。

API

リンク

Apple Pay・Google Pay

スマホに標準搭載されている決済手段です。 OS の機能で支払いが完了するため、ユーザーはスムーズに決済をすることができます。

SBPS と GMOPG はどちらも API 型として対応しています。 特にSBPS は、Apple Pay をリンク型としても提供しています。

API

リンク

オンライン決済

E メールとパスワードで登録し、クレジットカードや銀行口座を紐づけるタイプの決済サービスです。QR コード決済サービスもこの中に含めています。

これらの決済サービスはスマホアプリがある場合が多いため、PC とアプリそれぞれの決済フローに対応する必要があります。

対応状況の比較として、SBPS はリンク型において、GMOPG よりも多くの決済サービスに対応しています。

API

リンク

電子マネー

NFC を使用して支払いできる決済サービスです。 WEB 上で NFC は使用しないので、オンライン決済サービス系とあまり違いはありません。

対応状況としては、SBPS はリンク型として、GMOPG は API 型として対応しています。

対応サービスも様々ですが、メジャーなところは抑えられているため、あまり差はないと言えます。

API

リンク

プリペイド

あらかじめ現金をチャージして使う決済方法です。 チャージ方法はコンビニでプリペイドカードを購入するか、クレジットカードからのチャージ、ギフトカードを登録などがあります。

対応状況としては、SBPS はリンク型として、GMOPG は API 型として対応しています。

対応サービスも様々ですが、メジャーなところは抑えられているため、あまり差はないと言えます。

API

リンク

ポイント

ポイントを使って決済するサービスです。

ポイントサービスには SBPS しか対応していません。

• API

  サービス名	SB Payment Service	GMO Payment Gateway
  T ポイントプログラム	OK
  永久不滅ポイント	OK
  ネットマイル決済

• リンク

  サービス名	SB Payment Service	GMO Payment Gateway
  T ポイントプログラム	OK
  永久不滅ポイント	OK
  ネットマイル決済	OK

Pay-easy

銀行 ATM やネットバンキングにある Pay-easy 払込機能を使用して支払い、商品を発送するサービスです。

SBPS と GMOPG ともに API 型とリンク型両方に対応しています。

後払い・掛け売り

先に商品の発送を行い、後でユーザーが支払う方法の決済サービスです。

SBPS は掛け払いには対応していませんが、「NP 掛け払い」との連携は可能です。

API

リンク

口座振替

この決済方法は特殊で、口座振替依頼書をユーザーに送信するペーパー登録と、WEB 上で完結するオンライン登録の 2 種類があります。

ペーパー登録

ペーパー登録では基本的に加盟店がユーザーに口座振替依頼書を送信し、ユーザーから受け取り後は収納会社や決済システムへの登録作業が発生します。

各システムがこの方法に対応しており、大きく作業手順に違いはありません。

WEB 登録

口座振替依頼書をやり取りせず、WEB サイト上で登録が完結する方法です。手動での登録作業が発生しないため、ペーパー登録に比べるとこちらのほうが効率的です。

SBPS はリンク型として提供し、GMOPG は API 型（金融機関へのリダイレクトあり）として提供しています。

仮想口座振込

被振込専用仮想口座にユーザーが代金を振り込むサービスです。

この機能はGMOPG が API 型として提供しています。

払込票決済

購入後に払込票をユーザーに送り、支払いが確認できてから商品の発送を行うサービスです。 BtoB 取引や、クレジットカードを持っていないユーザーでも利用することができます。

SBPS は API 型とリンク型両方に対応しており、GMOPG は API 型のみ対応しています。

メールリンク型

決済を行うための URL をメールでユーザーに送信し、決済は総合決済システムのサイト上で行います。

この機能には SBPS と GMOPG どちらも対応していました。

代金引換決済

この機能はGMOPG 独自の機能で、API 型として提供しています。

提携している配送業者は日本郵便と西濃運輸です。

2. セキュリティ

3D セキュア

クレジットカード利用時に不正を検知するための仕組みです。

SBPS と GMOPG どちらもリンク型、API 型に対応していました。ただ、SBPS の API 型は営業に問い合わせないとわからないため、公開されているドキュメントでは詳細まではわかりませんでした。

機密情報保管

クレジットカード番号やセキュリティコード等の機密情報を総合決済システム側で保存してくれる機能です。

この機能には SBPS と GMOPG 両方とも対応していました。

トークン機能

機密情報をトークン化する機能です。 この機能を利用することで、利用する EC サイト等ではトークンを使うだけで決済機能が実装できるようになり、API 型で連携を考えている場合はよりセキュアに実装できます。

この機能には SBPS と GMOPG 両方とも対応していました。

不正検知

ユーザーの入力情報や取引内容に不正やリスクが存在しないかチェックするサービスです。 不正な取引をした場合、チャージバックが発生する可能性があるため、そのリスクを軽減するのに役立ちます。

SoftBank Payment Service

AI 不正検知という名称のサービスが有り、クレジットカード決済において、入力内容を元にリスクをスコアリングします。

GMO Payment Gateway

GMOPG は複数の検知サービスがあります。

• 不正住所検知
• Sift(取引リスクのスコアリング)
• ReD Shield(不正審査)

まとめや感想など

個人的には手軽さで言えば SBPS、機能の多さやカスタマイズ性では GMOPG だと思いました。

SBPS はリンク型決済連携が豊富なため、とりあえず低開発コストで自社サイトに決済機能を持たせたいときには有効です。

一方 GMOPG は、SBPS よりも API 型の決済連携が豊富なのと、代金引換決済に対応しているため、別途配送・出荷サービスとの契約をしなくても良いのが魅力です。 また、開発者である私には、GMOPG のほうがドキュメントが読みやすかったため、その点も魅力的だと思いました。

また、今回は機能面に絞って比較を行いましたが、総合決済サービスは手数料や入金サイクルなど他にも重要な要素があるため、機能面の仕様はお客様への提案時に紹介し、最終的にはお客様の要望などをよく聞いた上で決定すると良いと思いました。